ちょっとおこがましいですが、私の夢をお話しします。

あおぞら動物病院を開いた理由を聞かせてください。

増山:自分が勤務医として育ってきた時代は、どこの病院でもスタッフがかなり疲弊している状況が多く見受けられました。人と動物が共生するより良い社会の実現のためには、病院スタッフがまず幸せである必要があると思います。そのことを実現できる動物病院を作りたい…というのが、僕がこの病院を開いた理由のひとつです。

それが実現すると、飼い主様に対して、また動物に対してもっと優しく接することができるんじゃないかな…という思いがずっとあったので、それを実現したいなと思って、ここを開きました。

皮膚科診療に力を入れていますが、なぜですか?

増山:うちの病院は、開業して1~2年というかなり早い段階から皮膚科専門医の先生に来ていただいて専門診察をやっています。それには理由があって、一次診療では皮膚科の患者さんがメチャメチャ多いんですよ。

愛犬・愛猫が目につくところで痒がってるというのは、じつは飼い主様の大きなストレスになるんです。実際、臨床の現場で僕もすごく感じています。

皮膚科ほど論理的な思考が必要とされる分野はないと思っています。皮膚科の専門の先生達の診察は僕も見ていて本当に勉強になりましたし、論理的な思考というものも身に付けることができました。

皮膚をある程度、診られるようになるだけでも、多くの方の心に寄り添える獣医師になっていくのかなと思います。

皮膚疾患が治った時は、獣医師としてもメチャクチャ気持ちいいです。飼い主様と二人三脚の治療になりますので、これは勉強しておいて本当に損はない分野だと思います。

新たな獣医師を募集している理由は?

増山:できれば、もっといろいろと診察できる範囲を広げて行きたいんですよね。

たとえば内視鏡もそう。今後、呼吸器だとか歯科だとか、診察可能なカテゴリーをどんどん増やしていきたいですね。そのためにはやっぱり若い獣医さんの力が必要です。

特に田舎では、あらゆる症例の動物が来るんですね。ワクチンやフィラリア等の予防から事故に遭ってしまった子たちまで。循環器ももちろんそうですし、診察対象の幅がものすごく広いんです。

これから入ってくださる獣医さんには、それぞれにおいて好きな分野を決めてもらって専門性を高めてもらいたいと思います。

若い獣医さんにとって、ここで働くことにどんなメリットがありますか?

増山:循環器と皮膚科は専門診療を行ってますので、実際の専門医の診療を診察室に入って見ていただけますし、専門医が当院にいない時でもアドバイスを受けることはいつでもできます。

あとは、北大大学院の獣医学研究院獣医内科学の中村健介先生であるとか、アメリカで今、獣医画像診断学レジデントとして頑張っていらっしゃる栗原学先生の Zoom によるセミナーですね。それらも行っていますので非常に勉強しやすい環境です。

地方の個人病院は外界とのつながりが少ないという話も聞きますが?

増山:田舎の個人病院の閉塞感を心配されるんじゃないかと思うんですけども、実際には専門医の臨床現場に立ち会ったり、オンラインで各地の専門医とつながったりしているんです。

また、ウチの病院は地域の動物病院ともメチャクチャ仲良くしています。そういった地域の先生方と一緒にセミナーを受けられるので、大学の講義みたいな和気あいあいとした環境で勉強できます。

残業は多いですか?

増山:いえ、けっして多くはないと思います。昨年の実績でお話ししますと、獣医師の残業時間は月平均で6時間以下でした。残業時間の削減と有給休暇の消化には特に力を入れていて、ワークライフバランスの実現のために努力しています。

今後、若い獣医さんたちとどんな仕事をしてみたいですか?

増山:私の構想としてはですね、呼吸器やそれに伴う循環器もそうなんですけども、それらをしっかりトータルで診られる病院を作っていきたいなと思っています。

循環器の外科手術などもできる態勢は整いつつありますので、順次行なっていきたいですね。

また、当院に入ってくださった先生方の興味のある分野については、伸ばしていくためのサポートをします。

その上で、近隣の獣医さんたちと協力しながら、長野県で動物を飼うことがじつはすごく安心で安全なんだ、という環境を整えていきたいんです。

そのためには飼い主様の動物についてのリテラシーを高めるお手伝いも必要でしょう。僕の病院も含めて全体の底上げをしていけたら、と思っています。ちょっとおこがましいですけど。

あおぞら動物病院に興味を持ってくださる若い人たちに、メッセージを。

増山:勤務医の先生方のツイッターを見ていると、とても大変な状況で仕事をされている現状を目の当たりにします。

実際、僕にも過去そんな時期がありましたけれども、今は獣医師という仕事は最高だなと感じています。

獣医師をしている自分に誇りを持てるような社会にしていきたいんです。そのためには、まずは労働条件を整えて、すごく楽しいし幸せな仕事をしているんだと実感できる環境を作っていこうと思います。

若いみなさんと一緒にここをそういう場所に育てていきたい。見学だけでも全然構わないので、ぜひ一度いらしてください。

僕は若いみなさんとおしゃべりしたり、お酒を飲んだりするのがすごく好きなんです。アウトドア・スポーツも得意ですから、よければスノボや登山なんかもご一緒しますよ。

院長もオフはアウトドア三昧なんですか?

増山:アウトドア・スポーツをする人にとって、長野は本当に恵まれた場所です。僕自身、登山やスキー、スノボは大好きです。何でしたら教えて差し上げることもできます。

結構ガチガチにやっていたのはロッククライミングかな。30代は体脂肪率10%を切るところまで絞ってマジにはまっていました。かなり脇道にそれてやっていましたね。

でも、そういった本業と別の時間も人間の成長には大事だと思うんです。どの世界もそうでしょうが、僕たちが携わっている一次診療の領域は特に人間性が問われるジャンルだと感じています。本を読んだり映画を観たり、山に登ったり温泉に行ったり…そんな経験がすべてに生きてくるんじゃないでしょうか。

増山 浩一

院長略歴

長野県立野沢北高校卒業
国立岩手大学農学部獣医学科卒業
ダクタリ動物病院・京都病院勤務
長野県動物愛護センター勤務
小諸さくら動物病院/長野どうぶつ眼科センター/どうぶつ再生医療センター勤務 などを経る
2017年5月3日、あおぞら動物病院を開院

 

・公益社団法人 日本動物病院協会会員病院
・長野県獣医師会所属
一般社団法人LIVES在籍
・各種学会に所属
・日本獣医生命科学大学付属動物医療センター「呼吸器科」研修生

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